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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


 五月女さんに火傷を負わせなかったさことに胸を撫で下ろしつつ、服を取りに自分の部屋に走った。そうしてジャージがいいかパーカーがいいかとあれこれ手に取りながら、それを着た五月女さんの姿を自然とイメージした。

 なにを着てもきっと、綺麗で格好いい気がしていた。

「お待たせしまし……た?」

 書斎に戻った時、違和感は既に目の前にあった。その正体はデスクの前に立つ、後ろ姿。今度はスタンドの明るい光によって浮かび上がったそのシルエット。さっきのサマーニットよりも、身体のラインがくっきりとしていると感じた。

 それもそのはず、なぜなら――。

「ありがとうございます」

「……」

「どうかしましたか?」

 俺の手にしたパーカーに手を伸ばしながら、振り向いた彼女の上半身は下着姿だった。

「どうしたって……そんなの、どうかしますよ。だって、その格好じゃ」

 からかわれているのか。そんな疑念が先に立った分、劣情に流されることはなかった、まだ――なのに。

「仕方ありません、着替えるのですから。さあ――」

「もう、さっさと着てくださいよ」

 パーカーを手渡しながら、五月女さんに背を向けた。元々こうなったのは自分のせいだ。そう言い聞かせながら、湧き出しそうな様々な思いに蓋をしようと必死だった。

 なのに、五月女さんは――。

「いいのでしょうか? このまま、服を着てしまっても」

「いいに決まってるじゃないですか。どうして、そんなことを聞くんです?」

 そのために服を持ってきたんじゃないか。些かムッとした俺に対し、五月女さんはいつもの淡々とした口調でこう話した。

「服を取りに行かれている間、今日、涼一さんが集中を欠いている理由、それを考えていました。それでもし、そういう理由であったのなら、私の方で取り除いて差し上げるべきかと思ったのです」

「なんですか、そういう理由って? 意味わかりませんよ」

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