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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
こうして五月女さんへの反抗心を再び芽生えさせた俺は、自分の日常というものを見つめ直す必要に迫られることになる。
結局、一時でも親父の寄越した彼女に気を許してしまったのは(性的に魅力だという取り留めのない理由は差し引くにしても)、俺が孤独だったからに他ならない。まずは学校で仲間を作らなくてはならなかった。そう思うものの、俺の場合それがなかなか上手くできない。
そもそも五月女さんの件がなくたって、友人が欲しいという気持ちは入学当初からあったはず。それなのに数ヶ月経っても、俺の周囲に友人と呼べる人間は一人も存在しなかった。
これでは中学の頃と同じだ。名門私立の取り澄ましたような空気、その中にあっても俺と瑞月は浮いた存在だったと思う。この国でも指折りの金持ちである、親父の存在があったからだ。それが嫌で、一人暮らしをはじめ高校だって普通のところを選んだのに……。
これでは単に、自分の不出来を親父のせいにしていたみたいじゃないか。早く仲間を作らなければならない。俺はこの時、焦っていた。