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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第2章 コーヒーはブラックで
呼びかけた声が上擦っている。ドアの外から声をかけているだけなのだから、そんな風に挙動を乱すほどのことではない。それは承知しているのだけど。
再度ノックすると部屋の中から「うーん、誰……?」という、テンションの低い声が聴こえてきた。
朝の弱そうなところは、ギャルっぽい第一印象を裏切らないといえる。まあ実際はギャルというわけでもなく、そもそもギャルが朝に弱そうというのが偏見だ。
偏見と言うなら、たぶん俺の中にもうひとつ存在している。だから今、必要以上に緊張しているのだ。
「誰とか聞かれても……」
困惑を隠さずに言う。この別荘に、男は一人だけだ。
「ああ、管理人さんかぁ……じゃあ、入って」
「は? なんでだよ?」
「いいから、おねがーい。カギはしてないからぁ」
「いやいや、困るって……」
「ねえ、早くぅ」
昨日のさばさばしたイメージとは異なる猫なで声を耳にして、頭がクラクラする思いである。