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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密

残された俺は、金髪たちの去りゆく背中と、まだコンビニの前で唖然としたまま立ち尽くす前髪の彼の姿を交互に眺めていた。
「……」
この時たぶん、俺には二つの選択肢があったのだろう。どちらにしても、孤独ではなくなる気がした。だとしたら、どちらでもよかったのかもしれない。
とにあえず前髪の彼の元へ、一歩を踏み出そうとした、その時だった。
「ねえ!」
「え?」
「キミって、お金持ちなの?」
金髪たちの一連のやり取り、その周囲にいたのが自分だけではないことにはなんとなく気がついていたけれど。スマホを弄りながら建物の壁にもたれ掛かっていた彼女が、金髪たちの仲間だとは思っていなかった。
「ねえ、ねえ。そうなんでしょ?」
やや舌っ足らずな話し方。短い制服のスカートとピンク色の爪、それとカラーコンタクトの青みがかった瞳。全体的に派手な第一印象だ。
「……まあ」
「ふーん」
少し前屈みの体勢で、こちらの顔をまじまじと観察する彼女。やや褐色の胸元から、ちらりと白いブラジャーが見えた。
「ああ、視線がエロい」
「いや……ごめん」
「ふふふ、別にいーけどさぁ」
そう言って笑った顔は、どことなく『猫』を想起させた。
「せっかくだからぁ、キミも一緒に遊ぼ」
「一緒って?」
「ほら、いこ」
こうして猫のような彼女に手を取られた俺はその後、金髪の男たちの群に紛れることになるのである。

