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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密

件のコンビニ前の、俗にいうの〝カツアゲ〟の場面に出くわした俺は〝悪者たち〟とそれに責められる〝弱者〟といった構図の中で、それに関わり、成り行き上とはいえ結果としては〝悪者たち〟の仲間となった。
当初グループ内でリーダー的な存在と思われた金髪の男は、知り合ってから数日が経過した後、俺をある男に紹介した。
「ふーん、キミが岸本涼一くん?」
鍵の閉ざされた屋上に通じる鉄の扉前の階段。そこに腰かけ、その男は悠然と、踊り場で佇む俺を見下ろしていた。
「そうですが……」
「が?」
不意に鋭い視線を向けられ、俺は焦った。
「あ、いえ……そうです」
「そう、言葉は明瞭にね。変に濁すのは好きじゃないんだ」
「わかりました。すみません」
その男の持つ雰囲気は、独特なものだった。見るからに不良グループといった金髪たちとは違い、一見すると普通の生徒とあまり変わらない印象。肩に届く長髪であることと、その髪を掻き上げた際に光るいくつかのピアスを覗けば、特に目立ったところはなかった。
話し方もどことなく理知的で、ギラギラしたところもないから、不良グループのリーダーといった雰囲気は微塵もない。只、その眼差しは時折、相手を射るかのように鋭かった。
「実は困ってたんだ」
「え?」
「ほら、アイツら悪さばかりしてるからさ」
アイツらとは、どうやら金髪たちのことらしい。

