この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密

「この前も、他の生徒から金を巻き上げようとしてたんだって? そんなこを続けてたら、いずれ見つかって退学になっちゃうよ。どうしようもない連中だけど、それだけにほっとけなくてね。だから、ありがとう。岸本くんが止めてくれたんだよね」
「止めたというか、その……」
「なに? はっきりと言って」
再び向けられた険しい視線に、俺は慌てて答えた。
「いやっ……僕はお金を渡しただけで、お礼を言われるようなことは、なにもしてませんから」
「でも、おかげてアイツらは悪さをせずに済み、なけなしの小遣いを取られそうだった哀れな生徒も、結果的には救われたんじゃない?」
「あの時、どうして関わろうと思ったか、自分でも定かではないんです。それに、僕にとってお金は、あまり重要なものではなくって……とか、こんな風に言ったら、嫌な奴だと思われてしまいますね」
「いいや、特に。キミの金銭感覚がどうあろうと、その点に文句はないさ。只――」
男はサラサラの黒髪を描き上げ、こう続けた。
「――重要なことはキミがお金持ちであり、一定の金銭をアイツらに提供することを厭わないこと。そう理解しても、いいのかな?」
「はい」
「だけど、それだと岸本くんのメリットが不明だ。キミはアイツらやこの僕に、なにを望む?」
「それは――」
男の問いに対し、考えた後で俺は答えた。
「僕を孤独から救ってください。一人でいるのは、もう嫌なんです」
すると――
「ハハハ!」
男は高らかに笑った。

