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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


「なあ、涼一くーん。この美人のお姉さん、誰なの?」

「五月女さん。勉強を教えてっくれたり身の回りの世話をしてくれたり、それ以外にもお願いすれば、なんでもしてくれるんだって」

「うひょー、なにそれ! じゃあ、涼一くんのお友達である俺らにも、いろいろとしてくれたりするのかなぁ?」

 金髪をはじめとする色めき立った仲間たちが、一斉に五月女さんを見つめニヤニヤと笑った。そんな状況には彼女も危機感を抱いたのだろう。

「また出直して参ります」

 そう言って足早に玄関に向かった五月女さんを追いかけ、皮肉めいた口調で俺は言うのだ。

「逃げるんですね。あんな連中が怖いんですか?」

「そうではありませんが、涼一さんのお友達としては些か……」

「ふさわしくない、ですか? 外見があんな風だから」

「……ともかく、私には涼一さんが道を踏み外さないよう見守る義務があります」

「あれでも僕にとっては、はじめてできた仲間なんですよ。それすら、親父に言いつけて取り上げようというのですか?」

「その様な短絡的なことはいたしません。ですが――」

 振り返った五月女さんが言い終える前に、敢えて俺は答えた。

「ありがとうございます。約束ですよ」

 そんな勝手な子供(ガキ)の言い分を彼女がどう捉えたものか、この時はまだわからなかった。

 それでもそれから暫く、彼女が家に姿を見せることはなかったのである。

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