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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密

金城陸矢と交わした〝契約〟によって、俺には仮初めの仲間ができた。それは言ってしまえば不良グループではあるけれど、その一員の素振りで彼らに紛れていること自体は、存外悪い気分ではなかった。
「涼一くん、帰ろうぜー」
このように、大抵昼休みになると、柄の悪い男たちは群を成して、俺を呼びにきていた。クチャクチャとガムを噛む彼らは、午後の授業が残されていようと、まるで頓着しないようだ。
「わかった。すぐ、いくよ」
お誘いのままに鞄を持って席を立つ俺のことを、周囲のクラスメイトたちが息を呑んで見つめていた。まるで、不思議なものでも眺めるように。
そんな反応は腫物扱いだった中学時代にも似ている。けれど決定的に違うのは、一人ではないこと。それにクラスメイトたちが畏怖するのは、俺の親ではなくて俺の仲間なのだから。当時の愚かな俺は、そんな視線を浴びることすら、少なからず得意に感じていたのかもしれない。
早々に学校を引き上げた俺たちの足は、多くの場合、駅付近の繁華街へと向いた。そうして特に目的もなくゲームセンターだったりファミレスだったりカラオケだったりを巡回する。不良だからといって特別なこともなく、基本的には普通の高校生と同様の他愛のない遊び方だった。
俺はそんな彼らの遊技代を負担していたわけだけど、別にその都度、金を出すようなことはなかった。金銭は週に一度、陸矢に決められた額を渡すことになっており、その中から金髪たちが小遣いを受け取っていたらしい。

