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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


 テーブルの下で皆に隠れてそんな風にしながらも、本人は何食わぬ顔でスマホを見つめていた。

 やがて挑発的な指先の動きは止まるが、まだ手は繋がれたままだった。俺はドキドキしながら、今度はこちらから相手の反応を伺うように、俄に指先を動かした。するとそれを待っていたように、再び朱海の指がねっとりと絡みついた。

「……」

「……」

 言葉を交わさない、指先での会話はなんとも刺激的なものだった。次第に、掌は互いの汗でしっとりと濡れていた。それでも、どちらも手を離そうとはしない。汗を潤滑油として、更に指と指をねちねちと摩り合わせていく。

 その日の帰り際、朱海は俺の耳元でこう囁くのだった。

「この続きは、今度」

 そんなことを何度か重ねた後、陸矢と顔を合わせた俺は思い切って、こう切り出そうとした。

「あの……朱海さんのことなんですが」

 その名を出した瞬間、陸矢の眉がピクンと動いたのがわかった。

「朱海が、どうかした?」

「あ、いえ……」

「なぁに? 口にしかけたことは、最後まで言いなよ」

 責め立てるようなプレッシャーを前にして、俺は図らずもこう答えていた。

「か……可愛いですよね、とっても。アハハハ……」

 なにを言ってるんだ、俺は?

 すると陸矢は、ジロリと俺の顔を睨んでから、次に一転、今までに見せたことのないようなご機嫌な笑顔を見せた。

「なっ、そぉだろう? ふふふふ、やっぱりそう思うよねー!」

「え、ええ、それはもう」

「あんな風に見えて、実はまだ彼氏の一人すらいたことないんだ。だから涼一くんも、頼んだよ」

「は、はい……」

 一体なにを頼まれたのか不明だが、この陸矢という男が極度のシスコンであること。それ故、男が近づくことを快く思っていないことだけは確かのようだ。

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