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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


「帰ったんじゃなかったのか……?」

「んー? なんだか、急に眠くなっちゃってー」

「だからって、どうして俺のベッドで?」

「ええ? だから眠くなっちゃったのぉ」

 そんな風に寝ぼけたまま答える金城朱海の姿は、とても無防備に見えた。小春日和の縁側で寝ころぶ猫のように、どこまでも勝手気ままでもある。目を擦りながら「ああん、カラコン外れたしぃ」などと呟いたりしていた。

 乱れた制服すらまるで計算されたかのように、彼女の彼女らしさを際立てているかのよう。そこはかとなく、そしてやはり〝雌〟としても魅力をたれ流して止まない存在だ。

 気怠そうな〝雌猫〟を前にして、俺は思わずゴクリと喉を鳴らした。

 すると、それまで眠そうにしていた朱海が、こちらを見て意味ありげに微笑む。その際に唇から覗く左右の八重歯が、本当になんとも雌猫を想起させるのだ。

「ねえねえ、シャワー浴びたいんだけどぉ」

「なんでだよ」

「ええ? じゃあ、このままぁ?」

 ベッドの上で女座りをして、太股の間に両手を揃えて突き、やや肩を怒らると、朱海は俺を仰いで言った。だが、不満を口にするというよりは「仕方ないなあ」とでも付け加えそうな口調だ。

 その様な意図を察しながら、俺は自分の中で次第に高鳴るものを感じていた。それでも、このまま欲望に流されるわけにもいかない。

「まー、いっか」

「いいわけあるか。さっさと帰れよ」

「ええ? めんどいよ。もう夜でしょー」

「夜だからだろ。ほら、駅まで送っていくから」

「ええ?」

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