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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密

そしてそれ以外でも、三年生になればみんな受験対策をするようになったり、そういった意識でも私は周囲より少し遅れていた。学習塾に通い出したのも、四人の中では一番最後だったし。通おうと思った理由も、他の三人が忙しくてあまり遊んでくれなくなったという受動的なものだった。
恋愛も受験も、まだ子供の私にとっては〝お邪魔虫〟くらいに感じていたのだろう。
家の両親は共働きで、あまり裕福な家庭ではないのだろうけど、家族五人、それなり幸せに暮らしていたと思う。下には妹と弟が続くので、長女の私があまりお金をかけさせてはいけないと、なんとなくそれは察していた。
元々高校進学についても、特に明確な目標はなかった。精々中の上くらい、そんな自分の学力に見合った公立高校を、適当に選ぶのだと思っていた。
子供っぽくて、楽しいことが好きで、元気だけが取り柄だけど、その癖臆病だから、新しい世界にはなかなか足を踏み入れられない。私はそんな、ごく普通の中学生だった。
四年前の、あの夜までは――。
「え、お母さんも残業? ――うん、お父さんまだ出先だって。――蕾(つぼみ)と幹也(みきや)なら平気だよ。冷凍のパスタ食べたって――そう、ふふふ。自由にやってるみたい。――あ、うん。ここも、すぐ閉まるから。――いいよ、無理しないで。――平気、前にも一人で帰ったことあるじゃん。――わかった。家に着いたら連絡する」

