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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第2章 コーヒーはブラックで
「エッチなお店だよ」
あっけらかんと打ち明けた例の言葉が、脳内で反芻された。それを過剰に意識し偏見に満ちた目を向けているとしたら、それは最低ではないのか。
俺は頭を振って、犯人探しをするような安い思考を追い払った。それから改めて、起こしに訪れた理由を話す。
「今日は一日、ショッピングだってさ。他の三人は、もう出かける気満々みたいだけど」
すると、高坂さんは気怠そうに顔をしかめた。
「ああ……私、行かない」
「なんで?」
「一日中ショッピングなんて、柄じゃない。あと、みんなみたいに、お金ないもん」
「だからって、一人だけ――」
「昨日も言ったでしょう。あの子たちとは、仲良くないって」
「だけど、夜は楽しそうにしてただろ?」
「あれは、あくまでお酒の席。朝になればリセットされるとも言ったよ」
高坂さんはちょっと考えを巡らせるように、宙を見つめながら続けた。
「あの子――夏輝木葉ちゃん、だっけ? あんなコミュニケーション・モンスターがいるおかげで、傍目には結構わかりづらくなってると思うけど。あっちの松川さんなんて、ここに来るまで、ほぼ一度も話したことないからね」
「マジで? じゃあ、なんで一緒に旅行なんて来てるの?」
昨日と同じ疑問を、今度はちゃんと言葉にして聞いた。
「さあ? それは、誘った方に聞いてほしいかな」
「瑞月か?」