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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


 もしかして『りくや』という人に睨まれて、怯んだのだろうか。でも彼は手を顔の前で組んだまま、じっとして動かない。眼差しは前髪に隠れているから、私からは見えなかった。

 暫く間があった後で『りくや』が話を続けた。

「僕と涼一くんとの間にトラブルがあったことは、事前に承知していたみたいだね。でも、涼一くんも彼女の登場には驚いていたようだから、彼から聞いたというわけでもなさそうだ」

「じゃあ、その女が自力で?」

「そうらしいね。しかも五月女と名乗ったその女性は、この先は代理人を通して話をするようにと提案してきた。ふふふ、高校生の恋愛沙汰に弁護士を? それもいいだろうと、いつもの僕なら受けて立つところさ。でも、今度ばかりは相手が悪いのかもしれない」

「どういう意味ですか? つーか、五月女って、あの女か」

「なんだ。しってたのかい?」

「最初にこの家に来た時、居合わせた女です。なんか涼一の世話役だったようですが、俺たちが入り浸るようになってから、顔を見せなくなりました。てっきりビビって逃げ出したのかと」

「逃げ出すどころか、その五月女という人は、どうやら僕の家のことまで調査済みのようだよ」

「は?」

「問題は、こちらの家業が反社であると知られたことじゃない。そうと知りながら、一歩も引こうとしないその姿勢の方だからね」

「アイツ……涼一の親って、一体何者なんすか?」

「涼一くんを精神的に追いつめながら、その辺も暴いてやろうと思った矢先さ。僕としたことが、すっかり後手を踏んでしまったよ――アハハハ!」

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