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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密

「この先、どうするんすか?」
「当然、引き下がるつもりはないよ。なにより、朱海のことがあるし……」
「朱海……さん。病院の方、どうでした?」
「ああ、それがさ……うーん、その話は後にしてよ」
「は、はい」
「それより。こちらのことばかり調べられてるのは、やっぱり癪だよね。向こうの親を炙り出すのに、なにか手っ取り早い方法でもあれば――と」
「!」
その時、はじめて『りくや』の視線が、私の方に向いた。
「どーも、こんばんは。悪いね。ほったらかしにしちゃって」
「あの――お願いです」
「ん?」
「きっと家族も心配してます。どうか、私を家に帰してください!」
精一杯声を張って、深々と頭を下げた。そのまま五秒、十秒――いくら待っても相手の反応がないのが不安で、恐る恐る顔を上げる。
そうして仰ぎ見た『りくや』の顔は、口元こそ微笑んでいたけれど、その目つきはギラリと刃物のように鋭くって――。
「なに? もう一回言ってくれない?」
「です、から……家に……」
「家に?」
「かっ……」
……帰り、たい。
禍々しい笑顔のプレッシャーに呑まれ、私はそれ以上、言葉を続けられなくなった。

