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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


「ここじゃ、落ち着かないね」

「え……?」

「とりあえず、二人きりになろうよ」

「やっ……」

「大丈夫さ。他の怖い連中がいない方が、キミだっていいはずだね」

「だけど……」

「ほら、おいで。話なら向こうで、ゆっくり聞くよ」

「……」

「ね、いいだろ?」

 ――コクン。

 私はまるで操り人形のように、意思とは無関係に頷いていたのだと思う。陸矢の言葉は、さっきまでよりも優しい響きに思えた。

 そうして連れていかれたのは建物の二階、ベッドの置かれた客間のような部屋だった。常日頃から人が寝泊まりする気配がないわけではないけど、その割には物が少なく生活感には乏しかった。

「さあ、そこに座って」

「で、でも……」

 腰を下ろすように言われたのはベッドの上だったから、当然だけど素直に受け入れるわけにはいかない。これから自分がどうされようとしているのか、否応なく想像してしまっていた。

「大丈夫だよ。キミの嫌がるようなことはしない」

「ホント……ですか?」

「うん。だから、座って――あ、そうだ。先に名前を教えてよ」

「名前?」

「下の名前だけでもいいんだ。その方が、お互い話しやすいと思うから」

「木葉……です」

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