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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密

「木葉ちゃんか。とても可愛いね。僕の名は――『涼一』」
「え?」
「アハハハ! ごめんごめん。さっき、僕が陸矢と呼ばれてたのは聞いてたよね。だけど憶えておいてよ。僕の名前よりも、その『涼一』という名前の方を」
「……?」
どうしてそんな風に言うのか、その意図はまるでわからなかった。不思議に思いながら、私は何気にベッドに腰を下ろしてしまっていた。
公園のトイレからこの家に連れて来られて、もう二時間近く。精神的な疲労が、全身にまで広がっていたのだろう。
すると、それを待っていたかのように、陸矢は部屋の電気を消した。
「――!?」
私が悲鳴を上げようとした、まさにその時だった。
「騒がないで」
隣に座ると同時に、陸矢は私の口を手で塞いだ。
「むぐっ……」
そして陸矢は、私の耳元で囁きかけた。
「驚かせたのなら、ごめんよ。でも、こうした方がお互いの存在と息づかいを近くに感じられて、心を通わせられると思うんだ。ほら、月が出てる。すぐに目も慣れるさ」
「……」
「さあ、落ち着いたかい? いいよ。まずは木葉ちゃんの話を聞こう。慌てないで、ゆっくり話してごらん」
頷くと、口を塞いでいた陸矢の手が離れた。私は一つ呼吸をして、それから話し始めた。
「私、まだ中学生で……まだ全然、恋愛とかもしたことがなくって……」

