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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
△ △
夏輝さんが俺の家に連れ込まれていた、その時。俺は陸矢から呼び出しを受け、とあるカフェにいた。呼び出された理由は、事前に朱海から聞いてわかっていた。
朱海は生理が遅れたことを気にして、自分で妊娠検査薬を用意したという。そしてそれを陸矢に見つかってしまった。怒り狂った兄を前に、朱海は俺とのことを白状せざるを得なかった。というより、たぶん大部分は自分に都合いいように話したはずだ。
【殺されると思うから逃げた方がいいよ】
それが朱海からの最後のメッセージだ。それ以後は、一度も顔を顔を合わせていない。朱海だけではない。陸矢たちともそれっきりになるわけだが……。
ともかく、俺は陸矢の呼び出しに応じた。なにをされるかわからない、そんな恐怖を感じてはいたけど、朱海とのことは俺なりに正しく伝えておきたかった。その時点では、まだ最低限、話が通じる相手くらいには思っていたのだろう。
陸矢は指定した時間より、一時間近く遅れて現れた。遅刻の理由は朱海を病院に連れて行っていたから。つまり妊娠検査薬の判定など最初から眼中にはなく、はっきりと白黒をつけにいったということだ。
そして結果的に、妊娠はしていなかったという。それを告げた陸矢は、その後で俺のじっと眺め。
「ホッとしてるのかい、涼一くん?」
そう言って、ニヒルな笑みを浮かべた。
顔は笑っていても、目が笑っていない。その問いになんと答えても、怒りをぶちまけられるような気がした。時限爆弾のチクタクというカウントダウンを耳にしたような、嫌な緊迫感が漂っていた。
「すみませんでした」
頭を下げた俺に対して、陸矢はこう聞いた。