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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
「その謝罪は、なにに対して?」
「その……黙って、そういう関係に」
「はあ? そういうって、どういうだよ?」
「だ、だから――」
「やったんだろ! 処女を奪ったんだろ! はっきり言え、この野郎っ!」
ドン! と、陸矢はテーブルを叩き。店内にいた客が、一斉にこちらを見た。だが、陸矢が血走った目を向けると、一様に顔を逸らした。注意を促そうとしたであろう店員も、背を向けて他のテーブルの片づけを始めた。
周囲を威嚇した後で、陸矢はやや興奮を鎮め。
「そこんとこ、どうなんだい? 認めるよな、涼一くん」
改めて、そう問われた時、覚悟を決めて、俺はこう答えた。
「朱海さんが俺のベッドで寝ていたんです。彼女から誘われる形で、俺もそれに応じました」
「はあ? 処女だった朱海が、そんなことするわけ――」
「処女じゃありませんでしたよ。あんな娘が、処女のはずがないじゃないですか」
そんな風に答えた俺は、かなり自虐的な心境だったのかもしれない。
家を出て自由になったつもりが結局は親父の掌で、五月女さんに反発しても孤独に耐えかねれば仲間を金で買うような真似をして、朱海とのことだって好きでもないのに流され、その結果こんなことになって――俺は一体、なにがしたかったのか。
「なっ、ん、だとぉ――!?」
当然、陸矢は怒る。ピクピクと、その額に血管が浮かんでいだ。その後、どうなるのか。とりあえず爆弾が爆発することは確実だった。問題はその爆発が、どの程度の規模になるのかということ。
俺がその爆発に巻き込まれることを、覚悟したその時だった。
「お取り込み中、大変失礼いたします」
そう割って入った人の顔を見て、ぎょっとしたのは俺の方だった。
「さ、五月女さん……?」