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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
五月女さんの登場によって、俺は陸矢の一方的な追求から逃れることとなったが。
「私は現在、涼一さんのお世話をしている五月女という者です」
当然、その存在を訝しく感じたであろう陸矢が、素直に話を聞く姿勢であったはずもなく。
「それは、どーも。お世話をしてるって言い方だと、つまり使用人みたいなもの?」
「そうですね」
「だったら、出しゃばらない方がいいですよ。保護者の方とは、その内、お話をするようになると思いますけど」
「いいえ、金城陸矢さま。この先、お話がある時は、お互い代理人を通じて行うよう、ご提案いたします」
「は? なんて僕の名前を? つーか、代理人?」
「はい。どうやら、お二人の間にはトラブルが生じているようですから」
「涼一くん……この人に話したの?」
「いや――」
それを否定しようと思った時には、既に五月女さんに腕をひかれ席から立たされていた。
「では、失礼いたします」
陸矢の元から強引に俺を連れ出した五月女さんは、俺を助手席に乗せると、とりあえず車を発車。久しぶりに顔を合わせたせいもあって、気まずさを感じた俺は、最初は拗ねたように窓から外を眺めていた。
あのままだったら、どうなっていたのだろう。陸矢の前から逃れられたことについては、正直ホッとしていた。
だからこそ、余計に気まずい。あれだけ反発していた五月女さんに助けられたこと。なによりも、子供扱いされたようで気に入らなかった。
否、間違いなく子供(ガキ)だ。そう自覚するからこそ、助けてくれた相手にすら素直になれなかった。