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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
「金城陸矢のことは、どうして?」
「勝手ながら、調べさせていただきました。他にも頻繁に家に出入りしていた六名について、素性を把握済みです」
「そうですか。すごいですね」
俺は、投げやりな口調で言った。
「その様にご理解いただけた上で、ご忠告があります。今後一切、彼らとの接触をお絶ちください。金城陸矢の父親は、堅気の人間ではありません」
その後も、金城陸矢とその父親がどれだけ危険な人物かを、五月女さんは話して聞かせた。噂で耳にしていたことは、概ね事実だったようだ。
俺はそれをなんとなく聞きながら、虚しさを感じた。父親が堅気でないというのなら、ある意味で俺も同じではないのか。ふとそんな風に思って、自嘲気味に笑みを浮かべた。
親父の支配から逃れたくて一人暮らしをしたけど、結局は友達の一人も作れずに、金で買った仲間はヤクザみたいな連中で、そこで知り合った女とつき合ったことでトラブルを生じさせ、その尻拭いを親父が寄越した五月女さんに頼ろうというのだから……。
俺なんてこの先、生きてる価値なんてあるのか。そう考えた時に、こうして安全に守られていることが、胸を撫で下ろす自分が、急に腹立たしくなった。
「適当なお店で、お食事でもしていかれますか?」
「いえ……いいです」
「では、お家に帰ってから、なにかご用意いたしましょう」
「……」
俺はこのまま、なし崩しに五月女日名子の庇護を再び受けることになるのか。幼い子供が一人でお使いに出るも満足に果たせずに、後から見守っていた母親に結局は泣きついていまう。そんな場面と、同じような気がした。只々、情けなかった。