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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
「……今夜は、家に帰らない方がいいと思います」
「涼一さん、それはどういうことですか?」
「あの連中に、カギを渡してあります。今頃、好き勝手にやってるかもしれません」
「そうですか。そうなると、また別の物件の手配が必要でしょうね」
「手間をかけて、すいません」
「気にしないでください。ですが、当面どうなさいますか? 手狭とはなりますが、よろしければ私が借りるマンションの部屋に――」
「あのっ、それは流石に……」
「そうですね。失礼いたしました」
「いえ……迷惑でしょうし」
「そんなことは、ありませんが」
「と、とにかく……今夜は、近くのホテルに泊まってもいいですか? それ以降のことは、また明日にでも考えますので」
「承知いたしました」
そうして五月女さんに部屋の手配してもらい、自分のマンションに帰るという彼女をエントランスで見送る時。
「それでは明日の朝、迎えに参ります」
「五月女さん」
「なんですか?」
「……いえ、やっぱり、なんでもありません」
「そうですか。それでは失礼いたします」
「……」
俺のこと、馬鹿だと思いますか。情けなくて愚かな子供だと。
たぶん、俺はまた以前と同じようなことを聞こうとしていた。
でも、それを聞いてもしょうがないだろう。五月女さんはどうせ答えないし、なによりも俺自身がそう思っている以上、それが全てだから。
まず、自分が自分の行動に納得しなければならない。せめて、この先はそうしていきたい。ホテルでシャワーを浴び、少し物を食べてから、ベッドに入った後も、俺はそんなことばかり考えていた。