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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
「……」
そして目が冴えて眠れなかった俺は、ホテルを抜け出すと数キロの道のりを歩き、当時の自宅を目指した。なにか深く考えるより先に、自然とそうしていたのだった。
五月女さんに話したように、カギは連中にせがまれて渡していた。その一方で、陸矢が俺を別の場所に呼び出したことには、一体どんな意図があるのか。
陸矢にしてみれば、話がついた後で俺を伴い、家に行くつもりだったのではないか。そうなった時を見越して、他の連中がなにかを準備している? ――とか。
あの陸矢がなにを考えてるのか、それはわからなかった。一方で、只単に俺をリンチするような真似はしないだろうとも思っていた。奴が、いずれ俺の親と話をする、といった旨の発言をしていたことから、おそらく今回の件で強請(ゆすり)をかけるつもりなのだろう。
だとすれば、今以上の弱味(朱海の件をこちらはそのように思っていないが)を握るために、なにか罠を張っていたとも考えられた。
嫌な予感は膨らむ。しかし、これ以上五月女さんに頼るわけにもいかない。アイツ等との関係をせめて自分の手で精算しよう。たとえ相手が納得しなくても、自分の口からそれを切り出さなければならない。俺はそんな使命に駆られていた。
仮初にも、はじめてできた仲間。この時は、まだそう思っていたから。
しかし、俺はその後、最悪の場面に出くわす。留守にしていた、その家の中で。
「!」
奴らによって行われていた、凶行の一部始終を知ることになるのだ。
△ △
「お兄さん、どうしたんです? 黙っちゃって」
「あ、いや……なんでもない」
夏輝さんの一言で、意識が遊園地に引き戻されていた。
「次のアトラクション、もう決めましたか?」
「ごめん……まだ」
「もう! じゃあ、やっぱり私が決めます」
「うん、どれ?」
「アレにしましょう!」
と、夏輝さんは元気に、そのアトラクションを指さした。