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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
そうして結局はまたしても、夏輝さんの所望するアトラクションにやってきてるわけだけど。
「夏輝さん、ホントにいいの?」
「もちろん」
「それならいいけど。もし体調とか悪くなったら、言ってね」
「大丈夫ですって」
最初こそ元気にしていた彼女だけど、順番待ちの列が進むにつれて、徐々にその口数は少なくなっている。
眼前には、廃病院をモチーフとした不気味な館。これから俺たちが入ろうとしているのは、ホラー系のアトラクション。彼女にしてみれば、苦手な要素が詰まってるはずだ。
別にお化け屋敷の類が、そうだというのではない。俺はこれまで夏輝木葉と接する中で、彼女が暗い場所を極度に嫌っていることを知っている。
そして彼女の凄惨な体験の一部を聞いた今なら、それをトラウマ的に恐れる理由だって、察しているのだ。その上その一件には俺自身が深く関わっているのだから、とにかく彼女に精神的な負荷はかけたくないという気持ちが強い。
「……」
黙って俯いてしまった横顔を見ながら、引き返すタイミングを窺っていると、彼女は急にこちらを向いて微笑み、こんなことを言った。