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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


 アトラクション内には、所々にリタイヤ用の出口が設けられている。少しおどけた口調で話しながら、夏輝さんをそこへ誘導しようとした時だった。

「なっ――!?」

 夏輝さんに突然抱きつかれたばかりか、首にぶら下がるようにして顔を寄せられ、唇を押し当てるようにキスをされた。

「ど、どうして……?」

 引き剥がすように両肩を掴むと、そうした理由を彼女に聞く。すると――

「涼一さん……貴方には、義務があります」

「義務?」

「ええ……私を綺麗にして、私を大事にする義務が」

 そうして、もう一度強く抱きつき、彼女は言うのだ。

「だって――貴方以外には、私を救えないから!」

 顔を俺の胸板に埋めるようにして、彼女は抱きついたまま離れようとしない。

 彼女の言葉の真意、あるいはその裏側に潜む想いに対しては、おそらく俺が真剣に受け止めるべきものだと思うから。

「夏輝さん、外に出て落ち着いた場所で、ゆっくりと話そう」

 しかし、その時である。

「……あ」

 小さく声を発した後、夏輝さん華奢な身体がブルブルと震えたのが、わかった。

「大丈夫?」

 その時、足下に広がったのは――ピチャリ。

「な、夏輝……さん」

 やはり彼女の心の中に深く刻まれた傷は、並大抵のものではないらしい。

 俺に抱きついたまま、夏輝木葉は失禁していたのだった。

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