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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
仮初にも、はじめてできた仲間。グループを抜けるにしても、それなりに筋は通したい。その気持ちが、ここまではまだ残っていた。だけど――
「ふーん」
陸矢は俺の顔を暫く眺めてから、こう言った。
「じゃあ、一緒に二階に行こうか」
「え?」
「どうしたの? みんなに話があるんだろ」
「ええ……わかりました」
そうして陸矢に誘われ、俺は二階に向かった。その時、階段を一段上がる度に、空気が重たくなっていく感覚を確かに覚えていた。
どうして陸矢は他の連中を呼びつけるのではなく、自ら二階に向かおうとするのか。理由はわからないけど、階段を上がるにつれ聴こえてきた妖しい息づかいが、只ならぬ状況であることを俺に伝えていた。
「!」
その声が聴こえてくるのは、僅かに開いたドアの隙間から。普段、俺は自室として使用している、元は客間だった部屋からだ。ドアの隙間から光が漏れ出していないことから、中が暗闇であることがわかった。
「オーイ! 主役の登場だよ。みんな、そろそろ終わりにしてくれないかい?」
陸矢がそう声をかけるも、部屋の中から返事はない。その代わりに、興奮した獣の呻き声のような音が、幾重にも重なって聴こえてきていた。
部屋の中で、なにが行われているのか。これから俺は、なにをさせられようというのか。悪い方向に、想像せざるを得なかった。
「テメーら! やめろって言ってんだろォ!」
ドガッ!
陸矢は叫ぶと同時に、いつから持っていたのだろう、右手で振り回したバールで、壁を強かに打ち据えた。