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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


「オイ、なにかしているのか? 左手を見せろ!」

 陸矢は本気で俺を殺すかもしれないし、他の連中にしても少女に寄ってたかって乱暴するような連中だ。

 そう感じた時、俺は自分の愚かさを呪った。愚かさの合わせ鏡が、この連中だと思えば、募るのは嫌悪感ばかり――。

「いいから、左手を――」

 そう喚きかけた矢先、今度はこちらが陸矢の眼前にスマホの画面を突きつけた。既にアラーム音が鳴り、緊急通報のカウントダウンが始まっている。

「お前……舐めるなっ!」

 陸矢は怒りのまま、バールを振り上げようとするが。

「早く逃げたら、どうです。もう、通報されますよ」

『何がありましたか?』

 スマホのスピーカーから、その声が聞こえた瞬間のことだった。

「助けてくださ――」

 ――ガッ!

 俺が叫ぶと同時、陸矢の振るったバールが、左手からスマホを弾き飛ばした。

「この野郎っ!」

 尚も俺に攻撃を加える構えの陸矢に対し、痛めた左手を押さえながら、俺は陸矢に告げた。

「もう、遅いですよ……こちらの位置情報を受けて、パトカーが間もなく駆けつけるはずです」

「くっ……!」

 陸矢はその後、数秒の間に様々な感情を顔に滲ませた後で、今度は一転高らかに笑った。

「フフ……フハハハハハアッ!」

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