この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
「オイ、なにかしているのか? 左手を見せろ!」
陸矢は本気で俺を殺すかもしれないし、他の連中にしても少女に寄ってたかって乱暴するような連中だ。
そう感じた時、俺は自分の愚かさを呪った。愚かさの合わせ鏡が、この連中だと思えば、募るのは嫌悪感ばかり――。
「いいから、左手を――」
そう喚きかけた矢先、今度はこちらが陸矢の眼前にスマホの画面を突きつけた。既にアラーム音が鳴り、緊急通報のカウントダウンが始まっている。
「お前……舐めるなっ!」
陸矢は怒りのまま、バールを振り上げようとするが。
「早く逃げたら、どうです。もう、通報されますよ」
『何がありましたか?』
スマホのスピーカーから、その声が聞こえた瞬間のことだった。
「助けてくださ――」
――ガッ!
俺が叫ぶと同時、陸矢の振るったバールが、左手からスマホを弾き飛ばした。
「この野郎っ!」
尚も俺に攻撃を加える構えの陸矢に対し、痛めた左手を押さえながら、俺は陸矢に告げた。
「もう、遅いですよ……こちらの位置情報を受けて、パトカーが間もなく駆けつけるはずです」
「くっ……!」
陸矢はその後、数秒の間に様々な感情を顔に滲ませた後で、今度は一転高らかに笑った。
「フフ……フハハハハハアッ!」