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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
瑞月とその友人三名はたっぷり二週間も、俺の別荘(しろ)に滞在する(いすわる)つもりのようだ。
女子大生四人と過ごす、ひと夏の避暑地の別荘。聞く人が聞けば、涎でも流しそうなシチュエーションだろうか。世の中の大多数の若い男にとっては、きっとそうだった。だけど人との関りを煩わしく思うだけの俺のような男からすれば、今回の一件は面倒ごと以外のなにものでもなかった。
高校時代にはある事件をきっかけに、不登校に陥ってしまった。なにかが変わることを期待しつつ大学に進みはしたが、結局キャンパスライフとやらに馴染むこともない。入学三ヶ月で早々に休学を申し入れると、自ら孤独を求めて森に囲まれた別荘にこもり執筆と研鑽の日々を送っていた。
親には三年以内にデビューするとうそぶいたから、残された時間はあと二年もない。この一年なんら成果を上げられなかったことを鑑みれば、当然ながら焦りを感じていた。そんな意味でも、呑気に女どもの相手をしている場合ではない。
別荘で作家修行なんていったら、お前はどんな身分だよ、と怪訝に思われることだろう。その疑問に端的に答えるなら、親が(かなり度を越えた)金持ちだから、とそんな回答になってしまう。
そこに生じたであろう反感に対し、なんら抗弁するつもりはない。恵まれすぎた境遇であることは、否定しようがないのだから。しかし、俺は俺なりにいろいろあったとだけは言っておきたい。まあ、多くは親父の話になるから、できれば語りたくはないが……。