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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
今に限って、頭を抱えたくなる一番の原因は妹の瑞月にある。歳が近いこともあり昔は仲よく一緒に遊んだものだけど、俺が高校進学を期に一人暮らしをはじめたころから、すっかりと疎遠になってしまった。以来、顔を合わせる機会があっても、ろくに口すらきいてくれない。
まあ、そうなった経緯(いきさつ)については、完全にこちらに責任があると自覚していた。家を出る時に、俺が瑞月にしたことを思い返せば気分が重くもなる。そんな想いがあるからこそ、瑞月が俺のところに遊びに来る心理がまるで理解できなかった。
そんなことばかり考えても、変に身構えてしまうだけだ。意外と今となっては、まったく気にしていないという可能性も……それはない、か。
仮に瑞月のことを差し引いたとしても、呑気に遊びにやって来る女子大生の世話焼きなんて、本来なら絶対に御免こうむりたい案件である。だが、五月女さんにも言われたように、管理人として別荘に置いてもらっている身分故に、こちらには断る権利がなかった。
ならば来るものは仕方がないので、第一になるべく穏便に過ごすことを考えるべきだ。俺としては至ってクールに対応するつもりでいる。相手が若い女だからといって、浮かれてしまうことなんてあり得ない。この俺に限って、絶対にそれはない(……はず)。
そうして、七月の下旬の某日。東京から新幹線に乗って来た彼女たちを、別荘に備えられたワゴン車を運転して迎えに行くのだった。
挨拶もそこそこに彼女たちを車に乗せると、俺は後部座席に向かって聞く。
「どこか寄っていきたいところは?」
友達の三人は顔を見合わせた後で。時刻が午後三時を回っていたこともあって、観光は明日以降にするという話になり、この日はそのまま別荘に向かうことにした。