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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


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 保護者の代理として、刑事に五月女さんの連絡先を伝えてから、事態は急変することとなった。後日、調書を取るはずだった予定が、刑事の方からキャンセルを言い渡された時から、なんとなくそうだと感じた。

 俺は急いで、五月女さんと話すことにした。

「五月女さん、どうなっているんです?」

「この件は、もう私の手から放れました。私はこれまで通り、涼一さんのお世話をさせていただきます」

「親父に、話したんですね」

「ええ、警察から話を聞いた上で、その報告を私から。事が事ですので、ご理解ください」

「それで、親父はこの件をもみ消そうと?」

「先程も申しましたように、私の手に負えることではありませんので」

 それはそうなのだろう。五月女さんだって、当時まだ二十代半ばの女性だ。そうは思いながらも、俺にはどうしても解せない点があった。

「五月女さん、一つだけ教えてください」

「なんでしょう?」

「親父は、今回のこと――俺が加害者の一員だったと、その可能性があると、そう考えているんじゃないですか?」

「……涼一さんが警察にした証言は、正しく伝えてあります。ですから、その様なことは――」

「じゃあ、どうしてもみ消すような真似をするんです?」

「すべては涼一さんのため。私には、その様にしか申し上げられません」

「それって……」

 複雑な想いがこみ上げながらも、それ以上言葉を続けられなかったのは、自分が無力だと思い知っていたからだ。

 その後、五月女さんへの妙な反発心を諫め、彼女の助力を素直に受け入れようと思ったのは、自分が成長しなければいけないと痛感したからだ。

 その際、五月女さんの親父に対する複雑な心境及び、俺の世話役を命じられた時のやはり鬱屈とした想いを知ることとなった。そうしてお互いに腹を割って話せたことで、信頼を徐々に深めることになるわけだが、その辺りを語るのは、今は控えたいと思う。

 一番肝心なのは、夏輝木葉がその後、どう過ごしてきたのか、それに尽きるのだから。

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