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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
「それで後に、同じ大学にまで入ったと?」
「ええ、当時の私の学力では、同じ高校は無理だと早々に諦めましたから。時間も足りませんでしたしね。それで岸本瑞月が、そのままエレベーター式に大学まで進むことを見込んで、こちらは高校時代に猛勉強して見事に合格したというわけです。同じ学部になれたのは、たまたまですけど」
「そこまでして、瑞月に近づこうとした理由は? いや、結果として、こうして俺に会うためなのかもしれないけど。いくら、その〝目力の人〟から、親父や瑞月に辿り着いたとはいっても、実際はお互いに顔も見てないわけだし」
「でも、あの人影が『涼一』である可能性は、高いと思っていましたよ」
そう言いながら夏輝さんはスマホを操作し、画面にある画像を読み込んだ。それは、古い芸能記事。もう二十年近く前の週刊誌のものだ。
それは親父が当時モデルをしていた母親と再婚した時のもの。その時、母親のお腹には瑞月がいて、親父の連れ子だった俺が一緒に写っている写真もあった。これも時代というべきか、その写真の下には小さく【ご子息の涼一くん(一歳)】と、ご丁寧にそう記載されていた。
「この記事を見た時に、すべてが繋がったんです。例の人影が、この男の子の成長した姿だったんだと」
「だとしても……夏輝さんにとっては、忘れたい過去のはずじゃ」
「その辺りは、心の中で切り分けてました。それに、私だって好奇心くらいありますからね。私の大学卒業までの学費を払っても、まだまだ全然使い切れないほどのお金を渡してまで、更には復讐を肩代わりしてまで、あの家であったことをなかったことにしたい。またそうできる人物とは、何者なのかと。すべては、あの夜、私の前に現れた人影――『涼一』を、守るためだったんですね」
そう言われてしまうと、やはり引っかかってしまう。