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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
「一つだけ、誤解がある」
「誤解?」
「親父が事実を隠蔽したかったのは、息子を守るためじゃない。息子の不祥事をなかったことにしたかっただけなんだ。自分のために」
「ふーん、そうなんですか? その辺りのことは、わかりかねますが」
「まあ、夏輝さんにとって、どうでもいいことだものね。結果として、俺はのうのうと、こうして生きているわけだし。夏輝さんの言う、復讐がどんなものなのかはともかく、まずはちゃんと謝らせてほしい」
そう言って、頭を垂れようとした時だった。
「ストップ!」
「え?」
「そんな風に、軽々に頭を下げられても、困りますから。それに、まだデートは終わってませんし」
「だけど――」
「ほら、もう地上に着きます。話してたら、あっとゆー間でしたね」
「……」
観覧車を降りた俺たちは、その後、遊園地も後にした。
「戻りながら、ご飯でも食べようか」
助手席の乗り込んだ夏輝さんは、左右に軽く顔を振ることで、俺の提案を破棄する。
「じゃあ、どこへ?」
「二人きりに、なれるところ」