この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
「帰りの車中なら、ずっと二人きりじゃないか。話の続きなら、まだゆっくりできる」
「もう、話したいわけでは、ありません」
「じゃあ?」
「察しが悪すぎますよ、お兄さん。女の子が、帰りたくないと言っているんです」
「だ、だけど……」
「もう、仕方ありませんねー。じゃあ、適当なホテルにでも行ってください。あ、〝ラブ〟を冠する方で」
「夏輝さん、冗談なら――」
「冗談じゃありません!」
夏輝さんはきっぱりと言った。
「私、別荘に来て最初の夜、どうしてお兄さんのベッドに忍び込んだと思います?」
「わからなかったよ、ずっと。でもここまで話を聞いて、それが復讐の一環であるのかと……そうも考えたけど」
やはり、それが復讐であると言われても、なにか解せない。
「そうですね。四年越しに会えた復讐相手は、避暑地の別荘で脳天気にも小説家を目指すだとか」
思わず、ぐっと言葉が詰まるが。確かに、そう思われても仕方がない。
「それで、最初は深く考えたわけじゃないんです。途中で悲鳴を上げて、みんなに現場を見てもらおうかとか。あるいはお兄さんの恥ずかしい画像を取って、後々の弱味にしようだとか。もっとダイレクトに、私としてる生々しい動画を、瑞月に見せてやろうだとか」
それなら、確かに復讐たり得るかも……。