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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


「帰りの車中なら、ずっと二人きりじゃないか。話の続きなら、まだゆっくりできる」

「もう、話したいわけでは、ありません」

「じゃあ?」

「察しが悪すぎますよ、お兄さん。女の子が、帰りたくないと言っているんです」

「だ、だけど……」

「もう、仕方ありませんねー。じゃあ、適当なホテルにでも行ってください。あ、〝ラブ〟を冠する方で」

「夏輝さん、冗談なら――」

「冗談じゃありません!」

 夏輝さんはきっぱりと言った。

「私、別荘に来て最初の夜、どうしてお兄さんのベッドに忍び込んだと思います?」

「わからなかったよ、ずっと。でもここまで話を聞いて、それが復讐の一環であるのかと……そうも考えたけど」

 やはり、それが復讐であると言われても、なにか解せない。

「そうですね。四年越しに会えた復讐相手は、避暑地の別荘で脳天気にも小説家を目指すだとか」

 思わず、ぐっと言葉が詰まるが。確かに、そう思われても仕方がない。

「それで、最初は深く考えたわけじゃないんです。途中で悲鳴を上げて、みんなに現場を見てもらおうかとか。あるいはお兄さんの恥ずかしい画像を取って、後々の弱味にしようだとか。もっとダイレクトに、私としてる生々しい動画を、瑞月に見せてやろうだとか」

 それなら、確かに復讐たり得るかも……。

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