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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
夏輝木葉と接する中で、これまでもPTSD(心的外傷後ストレス傷害)の症状と思われる場面に何度か遭遇していた。暗闇を恐れることも、トイレを我慢する癖も、元を辿ればそうなのだろう。
そして彼女のされた仕打ちを踏まえれば、異性との性行為自体に傷害を感じていると考えるのが寧ろ自然。依存することでストレスを和らげようとした松川土埜とは対照的に、一切受け入れられなくなった可能性は低くないような気がする。
実際、彼女はこう言っていた。
「お兄さん以外の男性と、身体を合わせることができないと思います」
なぜ、俺だから? その疑問は、一旦置いておくとしよう。肝心なことは別荘に来た第一夜、実際に俺は彼女とセックスをしてしまっているという事実。酒に酔ってはいたが、感覚として最後まで果たしたことに間違いはなかった。
もし夏輝さんの言うように、他の誰でもなく俺としか、そういう関係になれないとしたら。彼女に対し自責の念を抱く俺は、どう彼女に応えるべき――?
「あのぉ、お兄さん」
「ん?」
「なんだか、ずっと浮かない顔ですねー。可愛い女の子を、こんなところに連れ込んでるくせにー」
「え? ああ……」
考え事をしている内に、既にホテルの部屋の中にまで来てしまっていた。ホテルの外観の派手さに比して、比較的落ち着いた雰囲気の室内を見渡し、少しほっとして息をついた。
でも、ここは紛れもなくラブホテルの一室。俺はこんな気分のまま、夏輝さんの望むまま彼女を抱こうというのか。
その前に、彼女は本当に、そんなことを――?