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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
夏輝さんから唇を離して、キスはごく軽いもので終わった。
「シャワー、浴びてきますね」
「うん……」
彼女がバスルームに消えると、やがて水が流れ始める。絶え間なく響くその音を耳にしながら、俺は答えを探そうとしていた。
答えとは言ってみても、明確な正解なんて存在しない。既に間違え続けてきた俺だから、今更そんなものは期待しない、けれども。
夏輝木葉――彼女を傷つけたのは、俺だ。もう間接的にとか、その一因を作ったとか、そんな言い方は止めよう。過去の件で彼女が向き合えるのは、俺だけなのだから。過去の甘えや逃げや堕落が、彼女の不幸の引き金となった。それは認めて、そして背負えるものなら背負ってみよう。
まず、その覚悟を持った上で、しかし、それが本当に彼女のためなのか。
俺はこの夏が過ぎれば、親父と絶縁するつもりだ。それは前々から考えていたことだが、今日一日、夏輝さんと話した中で固い決意となった。自分の堕落を親父のせいにつもりはない。だが、その庇護下にいながら反感を持ってみても、やはりそれは甘ったれな坊ちゃんの所業に過ぎないのだから。
別荘は出て、今所有する金銭も返そう。それで今までをなかったことにはできないし、そんなつもりもないけれど、最低限そこから始めなければならないと、そんな気がしている。
その上で仮に夏輝木葉が望むのなら、その傷に寄り添いながら彼女と共に生きるのか。想像してみても現実味は欠片もない。俺が唯一の相手だとして、彼女はそれで満足なのか。
俺が彼女の気持ちを満たすことが、できるのか?