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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
ここまでは、至って普通の男女の場面に思える。否、普通がどうだと断定できる自分ではないけれど、少なくとも――。
彼女の心の傷や、俺の負い目は顔を出していない。お互い、もう、このまま身体を重ねることに、迷いはないように感じた。この場面を客観的に見れば、そうだと思うから。
だから、もう難しく考えることを止め、俺はシャワーを浴びた。
「あはは、どーも」
バスルームを出た俺を、ベッドに腰掛けた夏輝さんの笑顔が迎える。足をパタパタさせ、こちらに向かって手を振っている。
「どーも、って」
これから遊びに行くような態度に、思わず笑みが零れた。
すると今度は少しむくれて、夏輝さんは言う。
「だってー、こんな時、どんな顔していいのか、わかりませんしー」
「緊張してる?」
「うーん、わかんないけど、すっごくドキドキはしてます。でも不安というのではなくて、期待する気持ちからくるドキドキのような」
「そんなに期待されてもなぁ……」
「うふふ、なんですかぁ、もう。予防線張ってるんですかー?」
「そうじゃないけど」
「お兄さんらしく、それが望みですから」
「うん」
「とゆーわけで、ちゃんと愛してくださいね」
そう言って、俺を迎えるように、彼女はパッと両手を広げる。
その姿にときめきに似たものを憶えながら、華奢な身体を抱きしめた。