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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
そうして僅かながら呼気を整えた後で、彼女は手を握った。
「もう……私ばかり、こんなに……ね、今度は、お兄さんも」
「ああ……」
すると彼女は身体を起こし、ヘッドボードにあるスイッチで部屋の証明を落とした。
「な、夏輝さん?」
「あはは。さっきまで、木葉って呼んでくれたのにー。ま、私も涼一って呼んだの最初だけだけど」
「それはともかく、電気を消して平気なの?」
「たぶん、平気。だってお兄さんが、私を沢山感じさせてくれるもん。だから――ねえ」
そう言いながら、手を伸ばし彼女が俺を探り当てた。
そうして抱き合いキスを交わした後で、彼女はしっとりと言う。
「木葉を抱いてください」
彼女を押し倒し、何度もキスをした。まだ身に纏っていたローブを雑に脱ぎ捨てると、そのまま肌と肌を合わせる。
一度絶頂を駆け抜けひんやりとしていた彼女の場所に、再び熱が戻るのを感じる。
「ねえ、来て――涼一」
そのまま彼女を貫けていたら、俺たちはそれからも共に歩もうとしたのだろうか。
「……?」
わからない。結果として、俺はそうできなかったから。
「おにい、さん?」
焦りは彼女に愛撫を施している時から、既にあった。高まっていく彼女の姿を愛おしいと思うのに。それなのに、俺は――
「……ごめん」
二人が結べなかったのは、夏輝木葉の心の傷のためではない。
俺が迷いを振り払えなかった、せいだ。