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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
◆◆◆視点・夏輝木葉◆◆◆
「じゃあ、どうして泣いているんだよ?」
そう言って、お兄さんは車を路肩に停めた。
お兄さんに言われるまで、私は自分の流している涙に気がつかなかった。
「どっ……どうしてって? あれ? ホント……なんで?」
慌てて手で拭おうとする私に、お兄さんは無言のままハンカチを差し出した。
「あは……なんか、カッコつけてます? 泣いてる娘にハンカチ……ちょっと、ベタすぎ」
「いいから」
「……ありがとう、ございます」
私はハンカチを受け取り、とりあえず頬の涙を拭った。
「それにしても」
そう言いながら、お兄さんは呆れたように大きく息をついた。
「なんです?」
「いや、夏輝さんが難儀な性格だってことは、よくわかったよ」
「いっ……言ったじゃないですか。性格が最悪だって……」
「最悪なんて言ってない。難儀だと言ってるんだ」
「つまり、面倒くさいと?」
「そうだね、この上なく」
したり顔のお兄さんに、私はちょっとムッとした。
「どうせ――」
「だってさ――」
すると、言葉が重なり二人は目を合わせた。
「え?」
その上で私は、お兄さんの言葉の続きを促す。