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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
「まあ、その辺りの事情は、今は省かせてもらうけど。もしその上で、現状なにもない俺でよければ、夏輝さんのことを支えてあげたいと思った」
「だっ、だから同情でしょ? それとも義務感ですか?」
「夏輝さんは、それでも良かったんじゃなかったの?」
「そう、ですけど……そこまで、はっきり言われると……なんだか」
「もちろん、それだけじゃない」
「な、なんです」
「人を思いやるあまり、裏腹な態度を取る。そんな素敵な女の子だと、今は知っているから」
「ううっ……」
聞いてるこちらが赤面してしまいそうになる台詞を、お兄さんは悪びれずに続ける。
「そんな夏輝さんのことだから自信を持って言える。たとえ時間がかかっても、ちゃんと好きになってみせるよ。君のことを、守らないといけないと思ったから」
「――!?」
その時、私の中を駆けめぐった感情の大半は、たぶん歓喜だったと思う。
だけど――
「あは!」
そうして笑ったのは、嬉しかったからでも茶化したかったからでも、ない。
「ど、どうしたの?」
「だって、言い方が思い切り義務感丸出しじゃないですかー。もう少し隠してくださいよ」
「まあ、それは……それでも正直に話そうとすると、今はそうなっちゃうんだ」
「……」
この人は、天然でこうなんだ。そして、とても刹那的。だから、この瞬間に嘘はない。
けれど、だからこそ、ズルい。