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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
「その……ホントに大丈夫なの?」
「私ですか? もちろんです」
その時の笑顔が思いやりのものなのか、そうでないのか、俺にはもう判断がつかなかった。
別荘に到着し、車を降りようとした時だ。
「あの――」
「ん?」
「――今日、話したこと、瑞月には言わないでください」
確かに、瑞月が知ればショックな内容は多い。夏輝さんとしても、自分の体験を知られたくはないはず。
「木葉は友達かな」
そう言っていた瑞月の兄としては、複雑な部分もあるけど……。
「わかった、言わないよ」
「ありがとうございます」
だけど口止めした理由は、俺の思っていたものと違った。
「折を見て自分で話そうと思います。そして謝って、できれば、ちゃんと友達になりたいので」
よかった。
「うん、そうしてやって」
夏輝さんにとって、それは簡単なことではないけど、瑞月だってちゃんとわかってくれるはずだ。
俺が車を降りた後も、夏輝さんは暫く中に留まっている。どうかしたのかと思い、助手席側のドアを開くと。
「ハイ」
と、俺の前に、夏輝さんは左手を差し出した。
「家に入るまでが、デートということで」
彼女にしては珍しく、少し照れたように言った。
「うん」
俺は頷き、その手を取ると、玄関までの短い距離を手を繋いでエスコートした。
そうして、扉の前で立ち止まった時。
きゅう、と。
彼女は一際、強く俺の手を握って。
「とっても楽しかったです! ありがとうございました、お兄さん!」
そう言った彼女は、眩しいくらいの笑顔を向けた。
そして、手が離れる。
夏輝木葉とのデートは、こうして終わったのだ。