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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
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その夜、なかなか眠れなかった俺は、夜中に起き出して、それまで書いた小説の推敲を行っていた。本当は結末の部分を進めたかったが、頭の中が他の事でグルグルとして、書けそうもない。とりあえず、作業に徹することにした。
頭の中のグルグルは、当然ながら夏輝木葉のことであったり、そこから転じて松川土埜や高坂文水のことだったり、そして今は瑞月のことが脳内で駆け巡っていた。
瑞月とは今日も顔を合わせていない。それでも一応、明日の予定を確認しようと思い、瑞月の泊まる和室の前で声をかけた。
「なあ、瑞月。明日のことなんだけど」
「……」
襖の隙間から光は漏れているのに、返事がない。
そういえば、昨夜もまともに顔を合わせようとしなかった。なんだか心配になった俺は、襖に手をかけた。
「瑞月、開けるぞ――ん?」
でも、襖は固く開く気配すらない。どうやら棒でも噛ませてあるようだが。
再度、呼びかけようとすると。
「朝八時」
襖の向こうから、ようやくその声は聞こえた。
「なんだ、いるじゃん。八時出発か? 早いな」
「その時間までは、リビングにも顔を出さないで――以上」
その後、瑞月がこちらの呼びかけに応じることはなかった。
「どういう、つもりだ?」
作業の手を止め、天井を見て呟いた。
そう言えば、四日連続のデートが決まった時に、瑞月は俺にこんな風に言った。
「もし何事もなく、無事に私に辿り着いたら、その時は、涼一にはご褒美をあげたいと思うの」
瑞月がどうしてそんな風に言ったのか、その意図やご褒美の内容を考えるのは一旦後回しにする。その上で、ここまでの三日間を振り返ってみると。