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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第2章 コーヒーはブラックで
「よかったのか?」
小さくなった後姿を見ながら、ふと呟いていた。華火のことをいい子だと思うからこそ、尚更。
現在の俺は、人生のモラトリアムの真っただ中。当然ながら、女にかまけていられる立場ではない。その点は強く自覚しているつもりだ。
もっとも華火にしたところで、単にバイト仲間としての親交を深めたいだけなのだろう。元々そういった方面では、かなり奥手そうなタイプだ。
だから、この件について深く悩む予定はない。が、その意味で既に懸案となってしまったのが、昨日から別荘にやってきた彼女たちの方である。先に述べた理由から、俺はこれ以上、彼女たちに惑わされてやるわけにはいかない。
それだけに頭が痛いのが、既にその中の一人と身体の関係をもってしまった事実。しかも相手が誰であるのか、まだ確信を持てずにいるのだ。
「ああ、面倒だ……」
途方に暮れて思わず呟きながらも、スマホを取り出すとメッセージを送った。
【バイト終わったぞ】
【迎えに行けるけど、どうする?】
送った相手は瑞月なのたが、それが【既読】になった後、返事をしてきたのは、なぜか夏輝さんだった。
〖美味しそうなイタリアンのお店発見!〗
〖お兄さんも一緒にどうですか?〗
そのメッセージを見て、ため息交じりに言う。
「ホント、いい気なもんだ」
そして、メッセージを返信。
【先に帰ってる】
【迎えがいるようなら、また連絡して】