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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
慌てて一階の洗面所に駆け出す。リビングには顔を出すなと言われていたけど、ちらっと様子を伺った感じでは、誰かがいる気配はない。気にはなったが、とにかく支度を急がなければならない。
顔を洗い歯を磨き用を足すと、地下に戻り支度にかかる。朝飯は食べる暇もない。
こんな時、高坂さんがいたら「用意してあるから食べていったら」なんて、言ってくれただろうか。それとも朝の弱い彼女は、ベッドの中で悩ましい寝姿を――。
いや、今はそんな場合じゃない! 想像しかけたものを吹き飛ばすように、俺は頭を振る。
つっちーはきっと、瑞月に気を遣って今朝は顔を出さないのだろう。そういえば昨日の朝「涼一さんで、オナニーしちゃいましたっ!」とか言っていたが、あれは衝撃だ。一体、どんな風に――。
だから、駄目だろ! 次は自分を戒めるように、頭を拳で叩いた。
そういえば夏輝さんも今朝に限っては、顔を見せない。それまでは割と、ちょっかいかけてきたのに。流石に昨日の今日ではということか。なにしろ「木葉を抱いてください」だしな……。不思議と今なら、応えられそうな気も――。
「ああ、馬鹿か俺は!」
ガツンと柱に頭を打ち据えると、支度もそこそこに玄関へと急いだ。今はあの三人の幻影に惑わされている時ではない。