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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
「え? どういうとこ」
「だから……察してよ」
「なにを?」
「そんなのっ! ……きょ、今日のために、決まってるじゃん」
「……!」
恥ずかしげに顔を背けながら、そんな風に言われてしまえば、こちらとしても込み上げるものがあるというもの。
瑞月は俺とのデートを心待ちにしていたのだと、そう感じたから。
でもそうなると「お兄ちゃん」と、呼んでくれるのは、どうしてか。否、兄と妹だから当然なのだけど、別荘に来てからこっち、酒に酔った時と熱に浮かされた時以外は、基本的に「涼一」と呼び捨てにしていたわけで――。
俺はそれを兄妹だという意識を薄めるために、敢えてそうしているのかと最近になって考えていた。
もしかして、俺が意識過剰だっただけなのか。瑞月としてみれば、疎遠になっていたこの数年の空白を埋めるべく、純粋に兄妹として今日一日を楽しもうとしてくれてるだけだとしたら。
それなら、こちらも大歓迎なのだけど。なんだろう、微妙に寂しい気がするのは気のせい? 否、もちろん気のせいだ。
そうならそうで、俺も肩の力を抜こう。
「瑞月、まずはどうする?」
「うーん、とりあえず駅に向かって」
「駅? どこに行きたいんだ。近場なら車の方が便利だぞ」
「いいから」
「まあ、わかったよ」