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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
今日は瑞月のしたいようにさせてやろう。機嫌を取らなくて済んだ分、こちらの負担も軽くなったわけだし、少しくらいの我が儘ならなんでもない。
と、そうして駅に到着向したわけだが、どうも瑞月の様子が変だ。駅のパーキングに車を停めるや否や、俺を急かして駅の構内へ。階段を駆け上がると、券売機の前へ。俺には行き先も告げずに切符を買うと、そのまま改札を通り抜け、プラットホームに滑り込んできた新幹線に乗り込むのだった。
「そんなに慌てて、どこに行くんだよ」
そう言いながら改札の前で瑞月から渡されていた切符を確認すると、行き先は一つ先の駅だった。
「おい、ここなら車でも、三十分もあれば」
「適当に買ったの」
「適当って、お前――」
「いいから、黙ってて」
そう言った瑞月は、自由席の窓側に座ると、頭を下げてプラットホームの方を警戒している。その姿を見て、ようやくピンとくるものがあった。
「もしかして、監視がいるのか?」
瑞月は小さく頷いた後で。
「ああ、もう――ほら、あの人たち」
そう言って指さした先に、三十代くらいのありふれた普段着の男が二人、階段を駆け上がってプラットホームに姿を現していた。
「まさか、別荘に来てから、ずっと?」
「わかんない。私も気づいたのは、二日前。タクシーを呼んで美容院に向かう時に、かなり離れていはいたけど車が追って来てるような気がしたの。そしたら帰る時も、同じ車を見かけて――でも、まあ、そうだよね。普段だって監視されてるのに、旅行先だけ自由なわけないもん」
「瑞月……」
改めて、その不自由さを知らしめられた気分だ。