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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
「あれ、でも一人しか乗らないよ」
瑞月の言ったように、男たちは言葉を交わした上で、その内の一人が新幹線に乗り込んでいた。
「たぶん、一人は移動先に車で駆けつけるんじゃないか? つまり、今のままじゃ追跡を振り切っても、無駄だってこと」
「なんで?」
「あのなあ、瑞月。それを持ってるからだろ」
そう言って俺は、瑞月の右手にあるスマホを指さした。
「JPSとかいうの?」
「……GPSな」
「私、あまり詳しくはないけど。誰かに位置を知られるような、そういうアプリとか設定とか、やってないと思うよ。今のスマホ、機種変だって自分でやったし」
確か瑞月は、昔からこういうことに疎かったな……。
「そんなの、それこそ親父の手にかかれば造作もないって」
「じゃあ、もしかして。スマホで電話したりメッセージしたり、そういうことも全部わかっちゃうの?」
「GPS追跡は確実にやってるだろうけど、流石にそこまでは――」
と言いかけて、やろうと思えばいくらでも、と思い直す。
そもそも瑞月が今住んでいるマンションの部屋は大丈夫なのか。この前の話だと、同じフロアの部屋は全て親父が押さえているという。その部屋のいくつかに、瑞月の監視役が常駐しているというのだ。その流れで考えれば、部屋の方にも様々な細工があったとしても、不思議ではない。