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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
俺はコーヒーを一口、喉に流し込んでから言葉を続けた。
「親父を刺激して、後々、監視が更に厳しくなったりしたら、余計に不自由な想いをすることになるぞ」
「後でお兄ちゃんが、話しをつけてくれるんじゃないの?」
「そのつもりだけど……だからこそ尚更、今は穏便にしておきたいというか……その」
「なんだか歯切れが悪いね。お兄ちゃんでも、やっぱり、お父さんのこと怖いんでしょう」
「それはない、ぞ?」
「ホントにー? その割には、語尾が変なんだけど」
「と、とにかく。話はちゃんとつけるから……いずれ」
どうにも、親父を説得するビジョンが見えない。それ故、自信のなさが言葉にも表れてしまっている。
「ふーん……」
頼りないな、といった感じだろう。瑞月に疑わしげな視線を向けられるのも、無理もないことだった。
「ま、いーか。とにかく今日一日が自由なら、それで」
そういえば、さっきもそんなことを言っていたが。
「今日は、なにか特別なのか?」
「は? なによ、その聞き方」
あからさまに機嫌を損ねた妹に、兄は焦った。
「いや……だって、今日はなにか決意したようなこと、新幹線の中でも言ってたから」
「その通り! 決意してるのコッチは! それなのに、なにか特別なのかぁ、とか。そんな間抜けな聞き方してさ」
「間抜けって……そんなの話してくんねーと、わかんねーだろ」
「デートなんでしょ!」