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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
周囲の視線が集まるくらい、瑞月はきっぱりと言った。そして、ややバツが悪そうに辺りを気にした後で、瑞月は声のトーンを下げた。
「今日は、お兄ちゃんとのデートだもん。私にとって、それだけで十分に特別だよ」
「瑞月……」
「ねえ、みんなとのデートが決まった時、私が言ったこと憶えてる?」
その話がきたか。俺は思わず、背筋を伸ばした。
「うん、憶えてる」
「じゃあ、私からのご褒美、貰ってくれる?」
ご褒美とは、一体なにを指すのか。もちろん気になっていたが、それをこのまま聞くわけにはいかないだろう。
「ご褒美を貰うためには、条件があったんじゃないか?」
それは他の三人とのデートを〝無事〟に終えるというもの。そして、俺はその条件をクリアできていない自覚がある。否、ありすぎるのだ。
デートの間だけではない。三人との間にあったことを、どう話したものか。頭を悩ませようとした矢先だった。
「いいよ、それは」
「え?」
「条件はナシ。最初から、ご褒美はあげるつもりでいたの」
「でも……」
「いいの。ねえ、貰って」
妙に艶やかな表情の瑞月を前に、俺はゴクリと喉を鳴らす。それから――
「一体俺は、なにを貰えばいいんだ?」
そう聞いた時、瑞月は視線を泳がした。そして、茶色に戻した髪を触り、顔を紅く染めながら、言った。
「私の初めてを――お兄ちゃんに、貰って欲しいの」