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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意


「……!?」

 俺は、次の言葉を完全に失っていた。

 否、全く予想してなかったわけじゃない。これまでの瑞月の言動や行動からして、寧ろ自然な流れのようにすら思える。しかしそれは、あくまでストーリーの展開の上でのこと。すなわち、リアルではない。

 だけど、想像しようがあるだけに、考えまいとしていた。無意識の内に、意識の外へと追いやっていた。この展開を想像しようとする自分を、下劣な男だと蔑もうとした。

 だからこそ今、実際に瑞月の口からその様に聞いて、俺は正しくショックを受けているのだった。

「ねえ、なにか言ってよ」

「う、うん……」

 頷いてみたものの、やはり続く言葉がでてこない。

 意味ははっきりと伝わっている。思った通りの意味だ。「初めて」といった内容を、詳しく聞き返すのは完全に野暮だった。

 瑞月は、俺をからかう意図で口にしたわけではない。「からかうなよ」そうすぐに口にできていない時点で、俺自身がそれを認めてしまっている。

 瑞月は本気だ。だからこそ、こちらも本気の言葉を探さなければならない。

 俺たちは兄妹だぞ。馬鹿なことを言うなよ。

 ある意味、一番簡単な言葉を思い浮かべてみるが、果たして今更それを口にする権利が俺にあるのか。家を飛び出す前、瑞月にキスをした俺に。

 瑞月にその可能性を示してしまったのは、俺なのに……。

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