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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
「ねえ、お兄ちゃん」
「あ、ああ……」
とにかくなにか言わなければと焦り、顔を上げた時だ。
「み、瑞月?」
こちらを見つめたまま、さめざめと涙を流す姿に、俺は驚いた。
そして、瑞月は言う。
「ごめんね……」
「どうして、謝るんだ?」
「違うの」
瑞月は首をふるふると小さく振って、それから手で涙を拭うと、こんな風に言葉を続けた。
「ご褒美だなんて言って、そんなの重たいだけだって、わかってるよ。だけどね……今日一日、私は自分の気持ちに素直になりたいと思ったの。無理をしない、そのままの私でって……お兄ちゃんと二人きりの時くらい、そうでいたかったから」
「……」
髪の色や言葉使いや態度の変化も、そういう気持ちの表れだったのだろうか。
「そうして素直になった時、自分の決意が揺らがなかったら、ちゃんとお願いしようって……そうなの。だから、これはお願いなの。私からお兄ちゃんへの……」
「……」