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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意
今日のことでも感じたが、瑞月を縛り付ける現状が、こうまで瑞月を追いつめているとわかる。籠の中の鳥である、自分。その立場にほとほと、疲れ切っているのではないか。
そうでなければ瑞月だって、こんなことを俺に、少なくとも「お願い」したりしない。他に頼るべき相手がいないのだろう。そして、それ以外にもなにか、俺も知らない事情があるはずだ。
「やっぱり、なにも言ってくれないの。いいよ。嫌なら嫌って――」
そう言ってまた泣きそうになる瑞月の頭を、俺はくしゃくしゃと撫でた。子供の頃、我が儘を言う妹に、そうしたのと同じように。
「な、なに? もう、髪がぐちゃぐちゃになっちゃうじゃん」
「あのな、瑞月」
「だから、なによ?」
俺は瑞月の頭から手を離すと、言う。
「無理はしないで、素直でいたいんだろ。その割に今の瑞月は、俺の見る限り、まるで素直じゃないんだよ」
「え?」
「たぶん、兄妹仲がよかった頃を思い出して、その頃の自分を演じてるだけなんじゃないか。やっぱり、無理してるんだよ。自分でも気づかない内に」
瑞月は少し驚いたようにした後で、キッとこちらを睨みつけた。
「そ……そうだったとしてもさ。わかったようなこと言われて、なんかムカつくんだけど」
「それでいいんだよ。お前はずっと、俺にムカついてたはずだろ」
「それは、そうだけど……」
「つまり、別荘にやって来た金髪のツンデレ瑞月ちゃんは、ある意味で素直だったわけだ」
「ツンデレとか、瑞月ちゃんとか、なんかキモいんだけど」
そう言いながら瑞月は、少し拗ねたように顔を背けた。